吉川英治から学ぶ倫理

 

今回は私が気に入っている小説を紹介させていただきます。世間的にも傑作であると称賛され、多くの方に愛され読まれている小説だと思います。改めて私が紹介するまでもなく有名な小説ですが、もしも読んだことがないという方は、是非、手に取ってみてはいかがでしょうか。

 

『宮本武蔵』吉川英治 著

 

様々な事に通じる真理ともいうべき提言が書かれていると感じます。だからこそ高校生の時、大学生の時、そして今、いつ読み返しても筆者の言葉に共感でき、満足することで深い感銘を受けるのだと思います。そして初めて読み終えた時は、さほど興味が無かった宮本武蔵に惚れ込んでしまいました (笑)。類稀な最高の男と出会える小説です。

 

医師としての私からでは無く、単なる知人からの薦めと思っていただき、特に、心も身体も深く病んでいる方へ届けたい小説です。

 

(以下、同小説の中の一部を抜粋しました。)

★怖いものの怖さをよく知っているのが人間の勇気である。

★人は満ちたりないものを感じるとき、さみしさが身に迫る。

★何千年何万年という悠久な月日の流れの中に、人間の一生の七十年や八十年は、まるで一瞬しかない。たとえ二十歳を出ずに死んでも、人類の上に悠久な光を持った人命こそ、ほんとうの長寿というものであろう。またほんとうに生命を愛したものというべきである。

★人間のすべての事業は、創業の時が大事で難しいとされているが、生命だけは、終わる時、捨てる時が最も難しい。それによって、その全生涯が定まるし、また、泡沫になるか、永久の光芒になるか、生命の長短も決まるからである。

 

 

2020年08月07日