元気でいたい!
ピンピンコロリ(亡くなる直前まで元気に活動する)を望まれる方は多いのですが、世界に名だたる長寿国である日本でも、健康長寿の人はそんなに多くはありません。『人は血管と共に老いる』と言われ、老年期に入ると循環器疾患の占める割合がとても多くなることも一因と考えられます。ピンピンコロリを実現するために大事なことは、1.病気を見逃さず放置しないことと、2.生きがいを持つことだと思います。
病気を見逃さず放置しない
自覚症状のない病気(生活習慣病、一部の不整脈や弁膜症など)も、自覚症状のある病気も、見逃さず放置せず治療することを勧めます。
生活習慣病による動脈硬化は、心筋梗塞や脳梗塞の原因となります。心筋梗塞や脳梗塞を一度起こしてしまうと、半永続的な内服薬が必要となることが多く病院に通い続けることになってしまうのも辛いところです。また、生活習慣病を放置している場合は、自覚症状が出始めて困った時には既に臓器障害や合併症が進行し治療困難なことが多く、入院や検査が増え、反面、自覚症状もなかなか消えないという悪循環に陥ることもしばしばです。それらを防ぐためにも、予防的に早めに治療することを勧めます。
運動療法や食事療法、リハビリなども立派な治療です。しかしそれだけでは足りない場合や治らない場合、悪化が予測される場合は、内科的治療(内服薬やカテーテル治療など)や外科的治療(手術など)を考慮した方が良いでしょう。
あらゆる治療の目的は病気を治すことですが、治療をするかどうかは病気を持っている人自身(あるいはその家族)が決めることです。大事に至る前に、早めに行動するようにしましょう。
治療の方法については、様々な検査や身体所見をもとに決定し、経過を診ながら調節するのが一般的です。たとえば不整脈や弁膜症、高血圧症など多くの循環器疾患については、心臓の動き(エコー検査)、血圧、脈拍数、脈のリズム(心電図検査)などを観察しながら必要な時に必要な治療を加えなければ、ポンプである心臓が弱ってしまい(心不全に陥ってしまい)、倦怠感や呼吸苦を自覚したり、足の浮腫みが生じたり、きつくて動けなくなってしまったりしてしまいます。一方、急性心筋梗塞、急性心不全、急性期脳梗塞、急性肺障害など急を要する疾患の場合は時間との勝負ですので、救急治療が必要です。
生きがいを持つ
ピンピンコロリ実現のためには、実際の医療のみならず、精神面も大きく影響すると思われます。生きがいを持っていれば、おのずと治療意欲につながり、ひいては元気に生活を送れる期間が長くなる可能性が高まります。また、生きがいと言うのは、時に薬や手術以上の効果があり、病気が治らなくても、命が短くなったとしても、人生に大きな意味を与えてくれます。生きがいを持っていない、あるいは見つけられない人は、是非、努力して探してみてください。精神的にも身体的にも元気でいるよう努めれば、ピンピンコロリが望めると考えます。